こんにちは。結構このサイトに、「オセロ 定石 最強」みたいなワードで来る人がいるようなので、強い定石について個人的見解を書きます。

「最強の定石」を知りたい動機は多分2通りくらいあると思って、
①非オセロプレーヤーが、数学的にオセロの最善の手はどれなのかを気にしている。
②オセロプレーヤーが、自分が打ってライバルに勝てる進行を探している。
だと思います。本記事では、①②それぞれに対して自分なりに考察します。

①数学的にオセロの最善の手はどこなのか?
こちらについては、主観が混じることなく絶対的な正解があります。
普通のオセロのマスは8×8で合計64マスあり、お互いが最善を尽くすと32対32の引き分けとなります。
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▲8×8のオセロにおける最も有名なドロー(引き分け)進行の一つ。FJT、パブリックドローなどと呼ばれている。初手からの棋譜はF5D6C3D3C4F4C5B3C2B4E3E6C6F6A5A4B5A6D7C7E7E8B6D8G3F7G5D1C1B1G6D2A2F2G8H4H5B7A8F8B8C8B2G4A3A1A7H8G7H7H6H3H2E2E1F3G2H1G1F1

本項目は非プレーヤー向けなので難しすぎる話は避けますが、人間的な終盤の打ちやすさ(ミスのしにくさ)と序盤で選べる進行の数の両方の面でオセロは白(後手)がやや有利なゲームです。有段者同士を想定した大会のルールでは、引き分けの場合は黒(先手)の勝ちとなる規則が多いです。(引き分けを黒の勝ちとすることで、人間的には奇跡的に非常に良いゲームバランスとなる)

もちろん、そのままでは白有利というのは有段者~人間のトッププレーヤーの話であって、人間のトッププレーヤーよりも強い最強オセロソフト同士の対局の場合は白黒に優劣はなく必ず引分けとなる。(最強ではないソフトの場合は白が勝つこともあるが)

ところで、「引き分けなら黒の勝ちなのだから、引き分けの進行を黒が覚えていれば100%負けないのではないか」と考えた人はいないでしょうか?トッププレーヤーならまだしも、入門者がこの考えで勝つのは不可能です。理由は2つあって、
①白が上級者ではない場合、そもそも最善を打ってこないので対策していた進行から外れてしまう
②仮に白が最善を打ってきたとしても、全部の最善を対策するのは非常に困難
が挙げられます。
②について、例えば上記の引き分け進行の途中の盤面を見ると
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白からの引分けの選択肢(+0と書いてあるマス)がなんと6通り!もあることがわかります。黒としては、白がどこに来るかわかりませんから全部対策しないといけないこととなります。当然、数が多すぎて対策しきれません。参考情報として、ゲーム中盤(34マス埋まって30マス空きの状態)の時点ですでに白が選べる最善進行は49通り(合流を考慮すると37通り)あるとされています。終局までだとさらにパターンが多くなって、(おそらく)1000近くありそうです。どちらにせよ、初心者が覚えられる量ではありません。(※これを覚える方向に努力している超上級者はいないわけではないが最メジャーの戦略ではない。)

ちなみに、8×8のオセロは2023年現在は完全解析されていない(ので100%引き分けが結論という保証はない)。が、多数のプレーヤーにより有力(引き分けに近い)な進行は調べつくされており(もちろん最強ソフトを使っての研究)、非常に高い確率(おそらく99%以上)で結論が引分けだということは有段者の間では常識となっている。

②プレーヤー向け、人間的に勝ちやすい進行とは?
まず言わないといけないのは、自分と相手の実力によって強い定石は変わります。

■オセクエ5分のレートで1500以下の場合
やり込んでいる人以外はみんなここ。オセクエってなんぞ?って人もたぶんここ。
ここのレート帯の人は、正直序盤とか気にしなくていいです。初心者同士の試合の結果は、中盤とほとんど終盤で決まるためです。ここのレートの人が勝つための方法は当ブログでは対象外なので、例えばばっしぃさんのサイトとかで勉強するのがいいです(自分も始めたての時にはここで勉強しました)。ただ、どうしても序盤で通ぶりたい人向けに最低限の情報を書いておくと、
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自分が白(後手)の場合。2手目の3通りの打ち方を順に「縦取り」「斜め取り」「平行取り」といいます。このうち、平行取りのみ評価が低いのでそれ以外を選ぶといいです。
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自分が黒(先手)で相手が「斜め取り」をしてきた場合。この場合は、以上の図の場所に置くといいです。このレート帯のうちは、以上の打ち方をしても即勝率上昇につながるとは言い難いですが、上達した後も同じ打ち方が通用するためあらかじめ経験を積むことができます。

■オセクエ5分のレートで1500~2000の場合
2000未満の場合は自分で新しい定石を創造するのはなかなか難しいため、既存の定石の中から選んで打つこととなる。
◇オススメ定石
黒番(対縦取り):虎定石(たまプラ~ザ、ロジステロ流、D8コンポス、シャープコンポス、ボンド定石など)or兎定石(Sローズ、Fローズ、手塚システムなど)
黒番(対斜め取り):牛定石(Rose-v-Toth、こうもり定石)or飛び出し牛定石(裏こうもり)orヘビ定石
白番:縦取りから全最善(万人にオススメ)、斜め取り(どこで変化するか作戦を立てるのが好きな人)
※縦取りは対兎定石のときのみ変化するのも手(横うさぎ、Ralle定石など)
※手順がわからない場合は当サイトの定石一覧(250種類以上)を参照するといい。

■オセクエ5分のレートで2000~2250の場合
①1500~2000の時のオススメ定石をさらに深くまでマスターする
※既存のものから選ぶ場合は、棋風別オススメ定石を参考にするといい。
ただし、自分が2000以上ともなると格下(1700くらい)の超絶暗記マンに対し、縦取りから最善を打つだけだと40手目まで暗記で打たれた後にワンミスで負けたりする。そこの対策だけはしておくと幸せ(例:格下or特定のアカウントにだけ斜め取りor縦取りからの変化を打つorマイナー最善を打つ)。

②マイナー or 独自進行を創造する
定石一覧からマイナーなものを選んでもよい。独自で用意する場合は以下の点を考えるといい
・その定石を打てる頻度(高いほど、作戦を生かせる機会が増えるので良い)
・マイナー度(高いほど、相手の対策を外せるのでいい)
・初見殺し性能(相手のぱっと目につく中割りや付け手、辺取りなどが悪手になる)
・中割り/引っ張り志向(基本的には中割りが打ちやすいが、相手がミスしたときの攻撃力は引っ張りのほうが強い。棋風により好みがあるはず。)
・自分と相手の分岐の数(自分の選択肢は多く、相手は少ない方がいい)
・評価値vsそれ以外(ほかの条件が悪いけど評価値のいいものを取るか。その逆にするか)
・人間的な勝ちやすさ(ある程度は事前に分かるけど正確には打ってみないと分からない。データを取って統計的に判断。)
※強いものは当然人気が出て打たれ対策も進みやすい。いかにマイナーかつ強いものを見つけるかが勝負。

ちなみに、②に当てはまるもので「最強定石」というものが存在する(某高段者が得意進行をふざけて最強定石と呼んでいたところ広まってしまったよう:手順は定石一覧ページ参照)。最強定石は、マイナー(最近はそうじゃないかも)、自分の選択肢が多い、人間的に勝ちやすいなどの条件を満たす。

③序盤に重きを置かないので特に対策しない。実際、序盤を極めることで盛れるレートは50~150程度で限界があるので地力の強化に注力する。

■オセクエ5分のレートで2250以上の場合
多分管理人より強いので自分からアドバイスできることはありません。ただ、ここの人全員が「序盤が」非常に強いかというとそうでもなく、序盤に限っては2000~2250と大差ない人も意外とたくさん存在する(そういう人は中終盤がハチャメチャに強い)。自分より強い人で定石の考察をしている人もいて、たとえばラスクさんのサイトなどを見ると参考になるでしょう。あとは、メジャー大会の決勝の棋譜(公開されてます)などでトッププレーヤーがどんな序盤を採用するのか見るといいです。